Top of Orienteering 第8回は全日本チャンピオンであり初めて世界選手権に出場する松下睦生選手。夏の大会に向けての抱負を先行公開。記事の続きはオリエンテーリングマガジンに掲載予定です。
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夏の国際レースシーズン真っ盛り。JWOCはすでに終わり、現在台湾でアジア選手権、ポルトガルでMTBO世界選手権が開催されている。そして明日7月31日からは世界大学選手権(通称:ユニバー)がハンガリーで始まり、リオオリンピックを挟んで8月20日からは世界選手権がスウェーデンで開催される。
今回初めて世界選手権に出場する全日本チャンピオン松下睦生に大会に向けての抱負を聞いた。(取材日2016/7/26)
世界選手権に向けて
―初めての世界選手権が近づいていますがずばりどんな目標をもっていますか?
一番の目標は個人種目のミドルで50位以内を考えています。それは日本チームの目標でもあります。
―ミドルレースへの出場が決まっているということですね。他のレースには出る予定がありますか?
スプリント、ミドル、リレーに出ます。
―その中でミドルを一番の目標に挙げた理由はありますか?
もちろんリレーもスプリントも重くは考えていますが、ミドルには1人のプレッシャーというか、他のレースと違って1人しか出られないので、そんな舞台に立ってみたいという気持ちがあったので特に重視しています。
あとは結構前から考えていたこととして、尾崎(※1)がA強化選手に決まり世界選手権出場がほぼ確実となっていて、さらにロングを目指しているということだったので、その段階でミドル一本に絞ってトレーニングをしてきたということもあって、ミドルをターゲットにしています。
―開催地スウェーデンの森は技術的にも難しいと言われていますが、その辺りは不安なく目標に対するイメージを高めながら準備できているのでしょうか?
そうですね。昨年夏に一回行っていることで現地の風景とかイメージをある程度持てるようになったことで、日本にいても地図を読むことで現地の様子を考えながら、練習になるような地図読みができている点でだいぶ不安を取り除く要素にはなっていると考えています。
―これまでの選手の話を聞くと、スウェーデンに行っても全然対応できず、帰って来ても不安しかないという人もたまにいますが、松下さんにとっては現地での対応にはあまり不安がなかったのでしょうか?
対応という点では、現地ではウォーキングというくらいのペースで回ればちゃんと対応できたのでそういう意味では不安はないんですが、そこでスピードを上げたときには見るものも変わってくるのでその点ではまだ不安があるという状況です。
―その不安は残された数週間の時間のなかでどう解消していくのでしょう?
ミドルレースが行われるエリアの地図、それは正確なオリエンテーリングマップではないんですが、それでも地図があるので、それを目に入るところに置き、こつこつと地図を読んでいます。それでチェックポイントにできる特徴物の位置などを覚えたり、ルートがすぐに見えるように毎日目に入れています。
―ちなみに世界選手権の前にあるユニバーとの間はどういう予定ですか?ずっとあちらに行ってる?
いえ、一回帰ってきます。
―そうなの!?それは大変ですね。1週間ちょっとしかないと思うけど。
そうなんです、10日間でまた戻ります。世界選手権最初のレースであるスプリントの3日前に現地入りの予定です。
―ではもう現地でゆっくり準備する時間があるわけではないんですね。昨年行ったイメージとここまでの地図読みの成果とで勝負をすることになると。
はい、そうです。
―初めての世界選手権ということですが世界選手権に向けては念願かなってという気持ちはありますか?憧れの大会というか。
はい、そうでした。特に昨年セレクションで落ちたこともあり、行きたいという気持ちが強くなりました。
―世界選手権の目標に定めたのはいつでした?
それはインカレで優勝したときでした。そこで世界選手権を具体的な目標に定めました。
世界選手権を意識し出したのは前回ユニバーに出た2年前でした。その時に出てみたいと思いました。
―他にもいろいろな目標を設定することはできたと思うのですが、世界選手権を目標にした理由はありますか?
やっぱり毎年開催されるこれまでの世界選手権を見てきた中で、大会としての盛り上がりはユニバーよりもすごいものがありますし、今の現状だと個人種目には1人しか出られない状態で走るというのはやっぱりかっこいいというのもあって、そのような舞台に出てみたいという気持ちがありました。
ユニバーに向けて
―世界選手権の前に2回目のユニバーがありますがそちらはどのような目標を持っていますか?
ユニバーもミドルを一番に考えていて、順位的には45位以内くらいを目指せば世界選手権の50位以内に相当するだろうと考え、それを目標にしています。
―それはもちろん世界選手権を意識しての目標設定?
はい、そうです。
―ユニバーは2回目なので大会へのイメージというのはつかめていると思いますが調子はどうでしょうか?
はい。リラックスして臨めていると思います。地図を見た限りでも対応はしやすいと思うのでそこまで大きな不安はないです。
もちろんそれぞれ結果を出す大会として位置付けていますが、世界選手権に向けてのよいシミュレーションにもなると思っています。
―前回のユニバーに出たことが世界選手権を意識したきっかけになったとのことですが、そもそもユニバーを目指そうと思ったのはどんな理由から?
2年のときのJWOCセレで惨敗してしまい、JWOCにはもう出られないとなったときに、世界に行くなら次はユニバーを目指すしかないと思ったことと、同じ年に2個上の先輩がユニバーに出てその話を聞いたことでやっぱりユニバーに出てみたいと思ったことがユニバーへの気持ちを強くした理由だと思います。(続く)
松下選手にはその後もトレーニングのこと、これまでの選手としても歩み、これから先の目標などをお聞きした。ぜひそちらもご覧いただきたい。
※1 同じく世界選手権代表の尾崎弘和選手