O-Support代表 プロフィール

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Koizumi

小泉 成行(KOIZUMI Shigeyuki)

  • 生まれ 1978年 愛媛県
  • 居住地 静岡県 川根本町
  • 主な現職
    O-Support代表、日本オリエンテーリング協会普及・指導委員

  • 主な競技記録
    オリエンテーリング世界選手権日本代表、アジア選手権優勝、日本選手権優勝

  • Web
    O-Support公式XFacebook

仕事履歴

イベント運営

  • 富士山麓オリエンテーリング大会 競技責任者(2021年-)
  • OMM Japan テクニカルディレクター(2020年-)
  • OMM LITE/BIKE HAKUBA/OTARI テクニカルディレクター(2016年-)
  • OMM LITE/BIKE HAKUBA/OTARI コースディレクター(2016年-)
  • 伊豆半島ジオパークロゲイニング コースディレクター(2016-2020,2022,2024年)
  • 有度山トレイル三昧トレイルランニングミニレース ディレクター(2013年-)
  • 丸子アルプストレイルラン 地図作成(2024年)
  • 朝霧ロゲイニング コースディレクター(2011-2023年)
  • 静岡大学地域スポーツ事業「大谷ナヴィゲーションフェスタ」 地図作成(2023年)
  • 両河内ロゲイニング コースディレクター(2018-2023年)
  • 井川マウンテンマラソン 地図作成(2021-2023年)
  • 伊豆大島ジオパークロゲイニング コースディレクター(2013-2023年)
  • 奥藁科大川ロゲイニング 競技ディレクター(2023年)
  • 富士山麓ロゲイニング コースディレクター(2014,2016,2018,2021,2023年)
  • 富士山麓オリエンテーリング大会 コースプランナー(2022-2023年)
  • OMM Japan コースディレクター(2014-2021年)
  • 南アルプスマウンテンマラソン コースディレクター(2016-2018,2020-2021年)
  • 粟ヶ岳ファミリーロゲイニング コースプランナー(2021年春秋2回)
  • オリエンテーリング日本代表選考会 競技責任者・コースプランナー(2021年)
  • 静岡県すこやか長寿祭&県民スポレク祭&県民オリエンテーリング大会競技責任者(2020年)
  • 井川マウンテンマラソン コース管理アドバイザー(2019年)
  • 駿府のまち再発見!ロゲイニング2017 コースディレクター(2017-2019年)
  • 水見色トレラン コースディレクター(2015-2019年)
  • 第7回全日本ミドルオリエンテーリング大会 競技責任者(2018年)
  • 第59回中日東海ブロックオリエンテーリング大会 競技責任者(2017年)
  • 室戸ジオパークロゲイニング コースディレクター(2017年)
  • JOAオリエンテーリング日本代表選考会 コースプランナー(2016年)
  • JOAロゲイニング大御所シリーズ浜松大会 イベントディレクター(2015年)
  • TEAM阿闍梨岩岳ロゲイニング2015 イベントディレクター(2015年)
  • ANP記念ロングオリエンテーリング大会 コースプランナー(2014年)
  • 玉川トレイルレースinしずおか コースディレクター(2013-2014年)
  • エバニュー岩岳ミニロゲイニング コースディレクター(2012-2014年)
  • 第12回OSJロゲイニングin鎌倉 コースディレクター(2013年)
  • 日本学生オリエンテーリング選手権大会ロング・ディスタンス競技部門 渉外責任者(2013年)
  • 第55回中日東海ブロックオリエンテーリング大会 コースプランナー(2013年)
  • O-GAMESオリ・ラン プロデューサー(2009年)

起業前

  • 第1回ときわ走林会大会 競技責任者(2009年)
  • 沖縄あけもどろオリエンテーリング大会 競技責任者(2007年)
  • 第23回筑波大大会 実行委員長(2000年)

講師・コーチング

  • JSPO/JOA「オリエンテーリングコーチ養成講習会」講師(2021年度-)
  • JOA「ナヴィゲーション講習」講師・検定員(2018年度-)
  • JOA「ナヴィゲーション・インストラクター養成講座」講師(2018年度-)
  • 静岡県立朝霧野外活動センター「野外教育指導者養成講習会」講師(2013年度-)
  • 静岡大学「災害とリスクマネジメント」非常勤講師(2022-2024年度)
  • 静岡大学公開講座「安心登山のための読図とナヴィゲーションスキル」講師(2012-2024年度)
  • TEAM阿闍梨「ナヴィゲーションスキル講習」講師(2022,2024年)
  • 大阪オリエンテーリングクラブ「スプリングキャンプ」コーチ(2018、2023年)
  • 筑波大学オリエンテーリング部リレー特別コーチ(2023年度)
  • 「関東ブロック高等学校登山指導者研修会」講師(2023年)
  • 静岡大学防災総合センター「防災ロゲイニングセミナー」講師(2023年)
  • JOAオンライン講座「O-MAPフォーラム~地図を作ろう!~」講師(2022年)
  • NPO法人Mnop「ナヴィゲーションアスリートのためのナヴィゲーション合宿」コーチ(2022年)
  • JOAオンライン講座「良いコースを組もう」講師(2021年)
  • JOAオンライン講座「ナヴィゲーションスポーツ ルートプラン攻略講座」講師(2020年)
  • JOAオンライン講座「講習会のための地図の作り方 基礎編」講師(2020年)
  • アドベンチャーディバズ「ぐるぐるナビ」講師(2012-2019年)
  • 奥大井・南アルプスファンクラブ「読図講習会」講師(2016-2019年)
  • JOA「オリエンテーリング・ディレクタ1級2級養成講習会」講師(2016-2018年度)
  • THE NORTH FACE「Mountain Festival」ロゲイニングアクティビティ講師(2019年)
  • 「両河内ロゲイニングSUMMER」講師(2019年)
  • 香港オリエンテーリング協会「ジュニア・ユースチーム合宿」コーチ(2018年)
  • 静岡市清水和田島自然の家「和田島deトレラン&ロゲイニング」講師(2018年)
  • TEAM阿闍梨「蓼科サマーキャンプ」講師(2017年)
  • JOA「コースプラン講習会」講師(2017年)
  • クーランマラン人力旅行社「室戸トレイルランナーズミーティング」講師(2016年)
  • エバニュー「SILVAコンパス読図講習会」 講師(2016年)
  • JOA「ナヴィゲーションインストラクター研修会」研修リーダー(2015-2016年)
  • スポーツショップアラジン「トレイルランナー向け読図講習会」講師(2015年)
  • NPO法人Mnop「寸又峡キッズオリエンテーリング体験会」講師(2014年)
  • 南アルプス山岳図書館「読図講習会」 講師(2013-2014年)
  • ATCストア「トレイルランナー&ハイカーのための地図読み講習会」講師(2014年)
  • JR東日本大人の休日倶楽部「地図とコンパスの使い方講座」 講師(2010-2012年)

起業前

  • 筑波大学オリエンテーリング愛好会コーチ(2008年度)
  • 筑波大学オリエンテーリング愛好会コーチ(2004年度)
メディア出演・執筆・講演ほか

  • 川根本町「KAWANE TRAIL」マップシリーズ地図作成(2022-2023年度)
  • K-MIXラジオ「モーニング ラジラ」電話出演(2024年)
  • 静岡大学地域スポーツ事業「スポーツカフェ:アウトドアスポーツと地域振興」講演(2023年)
  • 国立登山研修所指導者テキスト「新・高みへのステップ」の執筆を担当(2022年)
  • PEACS「山岳ナビゲーション(新装版)」(村越真氏との共著)を上梓(2022年)
  • 日本勤労者山岳連盟「登山時報」にて宮内佐季子氏と共同で「地図読み迷人」の連載開始(2012-2022年)
  • JOAオンライン講座「アナリシス実践編」ゲスト出演(2022年)
  • JOAリモートセミナー「地域への普及のアプローチ」ゲスト講師(2021年)
  • エイ出版「PEAKS2月号」「山で道迷いしない地図との付き合い方」インタビュー記事掲載(2021年)
  • 静岡県立川根高校「冬季川根講演会」講演(2020年)
  • 山岳雑誌「岳人2月号」地図特集のルポ記事掲載(2019年)
  • 山と溪谷社「ワンダーフォーゲル10月号」読図特集の記事監修(2017年)
  • エイ出版「PEAKS」にて「山の地図ヨミ、基本のキ」を連載(2015-2017年)
  • 山と溪谷社「山と渓谷9月号」読図特集等高線パートの記事監修(2016年)
  • エイ出版「トレイルランニング スタートBOOK」ナビゲーション特集の記事監修(2015年)
  • エイ出版「ランニング・スタイル」ナビゲーション特集の記事監修(2014年)
  • JOA「O-FORUM 2014」出演(2014年)
  • JOA「スプリントフォーラム」パネリスト出演(2013年)
  • TBS「はなまるマーケット」出演、方向音痴の克服について監修(2013年)
  • エイ出版「山岳読図シミュレーションBOOK」にルポ記事掲載(2012年)
  • NHK「あさイチ」出演、案内に関する「スゴ技」について監修(2012年)
  • 南海放送ラジオ「ゴゴモリ!! 」電話出演(2012年)
  • 愛媛新聞「えひめ人」インタビュー記事掲載(2012年)
  • エイ出版「山岳ナビゲーション」(村越真氏との共著)を上梓(2011年)

起業前

  • 日本ケアフィットサービス協会「Care-Fit Times」(ウェブマガジン)にてコラム「森を駆ける」を連載(2009年)
  • JOA「日本代表の未来について考える公開シンポジウム」にパネリスト出演(2008年)
  • 読売新聞朝刊別刷「Y&Yしごと」インタビュー記事掲載(2006年)
  • パソナスポーツメイト「欲張りアスリートのためのビジネスアスリートセミナー」講演(2006年)
  • パソナスポーツメイトウェブサイトにインタビュー記事掲載(2006年)
  • Orienteering News in Japan にてコラム「楽園」を連載(2004年)

役職

  • O-Support 代表(2009年-)
  • 日本オリエンテーリング協会 普及・指導委員会NI資格認定小委員会 委員長(2023年度-)
  • 日本オリエンテーリング協会 NI資格認定委員(2018-2022年度)
  • 日本オリエンテーリング協会 普及教育委員(2010-2022年度)
  • 筑波大OL愛好会OB・OG会(現桐嶺会) 世話人代表(2006-2013年度)
  • ときわ走林会 事務局(2005-2011年度)
  • 日本学生オリエンテーリング連盟 技術委員(2002-2008年度)
  • ときわ走林会 クラブ代表(2003-2004年度)

競技成績

国際大会

世界選手権(WOC)

  • 2018(LAT) ロング58位,リレー(寺垣内-結城-小泉)26位
  • 2013(FIN) ロング予選21位
  • 2012(SUI) ロング予選26位,リレー(小泉-松澤-寺垣内)31位
  • 2011(FRA) ロング予選27位,リレー(小泉-柳下-松澤)30位
  • 2008(CZE) スプリント予選29位,ミドル予選24位,リレー(山口-小泉-鹿島田)21位
  • 2007(UKR) スプリント予選29位,ミドル予選29位
  • 2006(DEN) スプリント予選16位,リレー(小泉-松澤-加藤)24位
  • 2005(JPN) スプリント予選18位
  • 2004(SWE) スプリント予選25位

アジア選手権(AsOC)

  • 2014(KAZ) ロング2位,ミドル5位,スプリント5位
  • 2012(CHN) ミドル5位,スプリント6位,リレー(長縄-櫻本-小泉)2位
  • 2010(JPN) ロング優勝,ミドル5位,リレー(小泉-松澤-山口)優勝

World Games

  • 2009(TPE) スプリント33位,ミドル失格,リレー(加藤-皆川-小泉-番場)失格

World Cup(* ヨーロッパ選手権(EOC)を兼ねる)

  • 2013(FIN) スプリント予選62位,チェイシング56位
  • 2013(SWE) ノックアウトスプリント予選69位
  • 2013(NOR) スプリント70位,ミドル70位
  • 2009(FRA) ロング失格
  • 2008(LAT)* ロング予選34位,ミドル予選36位,スプリント予選33位
  • 2007(SUI) ミドル48位
  • 2005(ITA) ミドル予選17位決勝52位,スプリント予選16位決勝49位,ロング74位
  • 2004(DEN)* ミドル予選37位,スプリント予選42位

その他

  • 2019(GBR) OMM(小泉-谷川)Aコース 6位
  • 2016(GBR) OMM(小泉-寺垣内)Aコース 7位
  • 2016(EST) 世界マスターズオリエンテーリング選手権(WMOC)35-39クラス ロング8位,スプリント8位
  • 2010(CAN) 北米選手権(NAOC) ミドル39位,ロング25位,スプリント6位
  • 2004(CZE) 世界大学選手権(WUOC) スプリント53位
  • 2002(BUL) 世界大学選手権(WUOC) クラシック69位,ショート予選29位,リレー(紺野-加藤-高橋-小泉)15位

IOF Eventor, Athlete profile(World of O Runners)

国内大会

全日本大会(日本選手権)

  • 2023 ロング24位,ミドル37位,スプリント不参加,リレー不参加
  • 2022 ロング20位,ミドルM35A,スプリント不参加,リレー不参加
  • 2021 ロング4位,ミドル10位,スプリント不参加,リレー不参加
  • 2020 ロング10位,ミドル6位,スプリント中止,リレー不参加
  • 2019 ロング優勝,ミドル中止,スプリント不参加,リレー(静岡県)失格
  • 2018 ロング5位,ミドル運営,スプリント16位,リレー(静岡県)優勝
  • 2017 ロング2位,ミドル不参加,スプリント欠場,リレー(愛媛県)9位
  • 2016 ロング2位,ミドル欠場,スプリント6位,リレー不参加
  • 2015 ロング11位,ミドル3位,スプリント6位,リレー(静岡県)2位
  • 2014 ロング4位,ミドル2位,スプリント2位,リレー(静岡県)優勝
  • 2013 ロング2位,ミドル2位,スプリント2位,リレー(静岡県)優勝
  • 2012 ロング10位,ミドル優勝,スプリント6位,リレー(静岡県)優勝
  • 2011 ロング2位,スプリント不成立,リレー(千葉県)2位
  • 2010 ロング7位,スプリント3位,リレー(茨城県)12位
  • 2009 ロング優勝,スプリント9位,リレー(茨城県)4位
  • 2008 ロング3位,スプリント不参加,リレー(茨城県)14位
  • 2007 ロング7位,リレー不参加
  • 2006 ロング22位,リレー(茨城県)3位
  • 2005 ロング3位,リレー(茨城県)優勝
  • 2004 ロング2位,リレー(茨城県)2位
  • 2003 ロング24位,リレー(茨城県)優勝
  • 2002 ロング11位,リレー(茨城県)失格
  • 2001 ロング15位,リレー(茨城県)4位
  • 2000 ロングM21A,リレー(茨城県)8位

学生選手権(インカレ)

  • 2001 クラシック優勝,ショート4位,団体戦(筑波大学)5位
  • 2000 クラシック9位,ショート5位,団体戦(筑波大学)3位
  • 1999 クラシック45位,ショート予選13位

その他の大会

  • 2018 奥武蔵マウンテンオリエンテーリング(エリートクラス)優勝
  • 2016 蓼科北八ヶ岳ロゲイニング2016(JAPANセッター)優勝,奥武蔵マウンテンオリエンテーリング(エリートクラス)優勝
  • 2014 朝霧トレイルランレース(ミドル)優勝,松本ロゲイニング2014 Spring Stage(TEAM阿闍梨)優勝
  • 2013 有度山ロゲイニング2013(TEAM阿闍梨)優勝
  • 2011 松代城趾ロゲイニング(TEAM阿闍梨)優勝
  • 2010 富士山麓ロゲイニング2010(TEAM阿闍梨)優勝
  • 2009 クラブカップ7人リレー(ときわ走林会)3位,里山アドベンチャー(TEAM朝霧)優勝
  • 2007 クラブカップ7人リレー(ときわ走林会)3位
  • 2006 クラブカップ7人リレー(ときわ走林会)2位
  • 2005 クラブカップ7人リレー(ときわ走林会)優勝
  • 2001 平成14年度筑波大学体育会賞

所属クラブ

回顧録

幼少~高校

幼少期は父の仕事の都合で愛媛県内外を転々とする。秋祭りの太鼓台と船折瀬戸を行き来する船が原風景。小学生低学年まではスーパーレールの線路を敷き駅を作ることに熱中し、中学年では西武沿線を自転車で巡って路線図を追う。高学年で松山市に定住。その前後でファミコンを買ってもらったことからゲーム三昧。マリオ、DQ、FFと流行りのゲームを一通り嗜む。そこからTRPGやRPGツクールでゲームシナリオの創作を試みる。特にワールドマップ作成に熱中する。

中学はスラムダンクの影響でバスケ部、高校はJリーグ開幕の影響でサッカー部に入るも夏休みまでに幽霊部員化。スポーツへの憧れを持ちつつ大学入学までは帰宅部、家でゲームをするのが日課に。引き続き流行りのゲームに触れながら、信長の野望、シムシティ、大戦略など地図、歴史を扱うゲームを特に好む。もっとも繰り返しやったゲームはPC98の天下統一。中学2年に宿泊研修で訪れた大洲青年の家で初めてオリエンテーリングを行う。グループの中で地図を読む役目だった記憶が鮮明に残る。

一浪して筑波大学へ入学。強い動機があったわけではなく、科学の最先端というイメージ(愛読書だったパトレーバーにて篠原重工筑波研究所やシャフト土浦研究所があった影響を受ける)と、当時学長だった江崎玲於奈先生のネームバリュー(彼がこち亀の絵崎コロ助教授のモデルと信じていた)による雰囲気での選択だった。

大学・大学院

入学後、今度こそスポーツをやってみようと試みるがしっくりくるところはなかなか見つからなかった。新歓期終盤にオリエンテーリング愛好会の人たちから勧誘を受ける。オリエンテーリングをやったことがあると話すと猛烈勧誘を受け、「土曜に近くの公園で体験会をやる、終わった後は焼肉があるからぜひ」と誘われる。正直なところ、オリエンテーリングよりも焼肉に魅力を感じつつ体験会へ向かう。近くの公園での体験会で3位になって、今思えばとても簡単な賞状をもらった。スポーツで初めて評価され、部活経験のある同期たちにも勝れたことが嬉しく、入会を決める。

とはいえ最初から本気で取り組むつもりはなく、行けるときに行くというスタンスでどちらかというとコンパ等が楽しくて参加していたのだが、新人合宿や夏合宿に参加していたことは今思えばラッキーで、早い段階で基礎的な知識や技術に触れることができた。そのおかげもあって、よく分からないまま誘われた秋の大学選手権ショートディスタンス(インカレショート)の新人クラスで2位となった。部活を数ヶ月でやめてきた僕がその後も活動を続けられたのは全国大会の表彰式でメダルを貰ったというこの経験と自己主張が強すぎず程よく付き合える同級生たちのおかげだろう。

年度末には学生オリエンテーリング界の一大イベントであるインカレが待ち受ける。この年は山口県秋吉台での開催。活動は継続していたが、やはりそこまで熱心ではなかったので愛媛に帰省できるという理由がなければ遠方を言い訳に参加していなかったかもしれない。これもまたラッキーの一つ。高級温泉ホテルでの旅行気分と筑波大の先輩たちが活躍した個人戦で気持ちが高まっての最終日団体戦。男女とも優勝候補で応援にも熱が入っており、初めて体育会所属団体であることを認識する。そして女子の歓喜の優勝と男子の悔し涙。部活を経験してこなかった僕にとってはいずれも衝撃的であり憧れるきっかけとなった。

では2年生になって本気になったかというとそうでもなく相変わらずのんびりやっていたが、篠原岳夫・高橋善徳という学生ながらも日本トップレベルだった先輩の真似事をやれる環境にあったおかげで関東の地区選考会に通って選手権に参加することができた。しかしそこからは努力と工夫が物を言う世界。さすがに本番での成績はパッとしなかった。この年はインカレよりも、筑波や全国の同期たちがジュニア世界選手権へ行き「いつかは俺も海外遠征したい」と思ったことが重要なエピソードだろう。

オリエンテーリングに本気で取り組み始めたのは3年目となるミレニアムな2000年。頼りにしていた先輩達が卒業し僕らの世代が強くならなくてはと思えたこと、そのとき大学院に在籍していた元日本代表の鈴木康史さんにクラブのコーチをお願いできたことがきっかけ。康史さんのコーチングは技術以上にどれだけ選手を本気にさせるかに主眼が置かれていた。グラップラー刃牙やガチンコ!など漫画やTV、音楽を使って心を揺さぶってくる。「まだ本気出してない」というメンタルの人間へ覚悟の決め方を教えてくださった。

康史さんのコーチはその年だけだったがパフォーマンスの高め方を身につけることができた。3年、4年と最も望んだインカレ団体戦優勝は達成できなかったが、4年での個人戦(クラシック)優勝、その後のユニバーシアード出場へ繋げることができた。ここで一つ告白をしておくと、ユニバー選考会では次点以下だった僕が代表に選ばれたのはインカレでの成績を考慮してのことだったのだろうが、それにより行けなくなった選手たちの悔しい顔が忘れられず、それがオリエンテーリングでより高い場所を目指そうとした原動力であった。


オリエンテーリングにはまっていく一方で勉学の方は疎かになった。正確に言うと大学に受かることが目的で、その後を何も考えていなかった故にモチベーションがなくなっていた。2年目で自然学類の物理専攻に進級したが、ほどなく授業から足が遠のく。さて、どうしよう。オリエンテーリングは楽しいんだけどな、いっそ研究にできないかと考える。ここでもラッキーがあった。自然学類には地理学専攻があり地図を使った研究ができたのだ。もともと社会科系科目が好きで、それゆえにオリエンテーリングにはまる素養もあったのだろう。3年目で専攻替え、1年多く学類生をやって大学院に進学。院では念願のオリエンテーリングを研究テーマにし、北欧のクラブ運営についてフィールドワークをしながら修了した。親になって思うのは実に困った息子だったろうということ。もう一つ親になって思うのは大学に行くことが全てではないが、行くなら各地から学生が集まり、幅広く研究できる学校に行ったほうが可能性が広がるぞ、ということ。


僕がオリエンテーリングに本気で取り組み始めたのと時を同じくして2005年に愛知で世界選手権が開催されることが決まり選手強化も本格化した。ユニバー後にナショナルチーム入りをした僕は若手ドンピシャ世代ということでその恩恵を受けまくることとなる。フィンランドから来たヤリ・イカヘイモネン(イーキス)氏がナショナルチームコーチとなり、北欧流の指導を受けることができた。何より彼の人脈を活かして選手を海外へどんどん連れ出してくれたことが大きい。かくいう僕もスウェーデンを中心に数ヶ月滞在し、自身の研究を進めながら2004年に当地で開催された世界選手権(WOC)に初出場を果たす。

就職後

迎えた2005年の愛知WOCは前年に負った怪我の影響で十分なパフォーマンスを出せず、スプリント代表に滑り込めるも本番は25秒差で予選を通れず不完全燃焼で数年間のプロジェクトを終える。その悔しさを晴らそうと出場した秋のイタリアでのワールドカップで決勝に進めたことで「まだ速くなれる」と思い、多くの選手が2005年で一区切りつける中、競技生活の継続を決める。

翌年から毎年WOCに出ることとなり、2006年デンマークは16位と予選通過まであと僅かのところまで行く。スプリント以外のフォレスト種目にも出場し、このまま行けば壁を突破できると信じていたが、2007年ウクライナWOCでは停滞。念願を叶えるべく多くの時間と費用を費やした2008年チェコのWOCでも目標を達成できず、一回休もうと決意。このときリレーで初めてヨーロッパ勢と競り合え、いくらか満足感を得られたこともあったし、30歳を迎えオリエンテーリング一辺倒の人生を見直そうと思ったことも大きな理由だった。


話を少し戻すと、愛知WOCイヤーとなる2005年春には就職する必要もあった。内定が出にくい時代ではあったが幸運なことにいくつかの選択肢があった。その中でオリエンテーリングに取り組める環境を求めていることを応援したいと言ってくれたIT商社へ就職することを決める。ところがである。入社して新人研修も終わった5月末に突然解雇となる(正確には試用期間終了で正式採用されなかった)。それは僕だけではなく、同期や他の若手社員も同様で、会社の経営が傾いてしまったのが理由だったそうだが、今から思えば色々疑わしい。まぁそんな会社に長くいても人生のプラスにならなかっただろうしラッキーだったと思うことにしている。

ただ稼ぎ口がなくなり、大きな目標だったWOC2005を目前に途方に暮れることにもなる。オリエンテーリング仲間の山本英勝(ヒディ)氏の会社や日本オリエンテーリング協会(JOA)事務局でアルバイトさせてもらったりして世界選手権まで食いつなぐ。大会後にアスリート向けの派遣会社を紹介され登録、都内の福祉系資格を運営するNPO法人へ赴く。就業してすぐにイタリア遠征などがあったが理解していただき、少人数ながらもアットホームな雰囲気も良くてしばらくお世話になろうと決める。

2006年には取引先の鉄道会社からオリエンテーリングを使った研修ができないかと依頼があり、その年一緒にWOCへ行った村越真さんに相談してプログラムを開発してもらう。当時の代表コーチだったロブ・プラウライト氏に地図を作ってもらって、代表仲間の松澤俊行氏と講習へ赴き高評価を得て、その後数年間オリエンテーリング研修を行うことになった。さらに2007年には職場のNPOが沖縄で主催したシンポジウムでオリエンテーリング大会を併設しようということになり、これまた多くのオリエンティアの協力を経て開催にこぎつけた。村越さんの講習会や研修ではしばしばアシスタントもやらせてもらった。これらの経験は、オリエンテーリング界においてプロマッパー(地図作成事業者)以外の業態でも仕事にすることができるのではないかと考えるきっかけとなった。


話が戻ってWOC2008が終わり、2009年。WOCには出ず、トレイルラン、ロゲイニングなどいわゆるエンデュランス系の周辺スポーツも嗜みながら気ままに競技に取り組んでいた。そんなとき、失業中にお世話になったヒディさんから「nonameの代理店を引き継がないか?」と相談を受ける。職場環境は悪くなかったがNPOだけに収入面には不安があり、少しでも稼ぎを増やせればという切実なところから副業として取り組む事になった。クラブウェアの作成が主になるので、そのことを取っ掛かりにクラブの雑務を代行する仕事ができないか、彼らが夜中や休日にやっているそれらの雑務から開放され、本来取り組むべき大会運営や競技普及などに注力してもらうことでオリエンテーリング界を活性化できるのではないか、という目論見もあった。事業化するなら時折依頼のある講習会や研修も含めてしまおう、ということでO-Supportの商号で登録、原型ができた。このような環境の変化があり、競技でもまた挑戦したいという気持ちが芽生え、WOCを目指してトレーニングを再開する。

副業から独立まで

年齢的な身体の変化も見据え、スプリント種目からロング種目へ専攻を変えた。過去を大きく上回るトレーニング量をこなし、流山のアパートと市ヶ谷の職場を往復ランする日々であった。フルマラソンでの記録更新やロゲイニング帝王柳下大氏と一緒にエントリーするなど課題だった60分以降のスピード維持を図る。

その成果もあり2010年に日本で初めて開催されたアジア選手権ではロングで優勝。日本選手権も兼ねていたため初の日本チャンピオンにも輝け自信がついた。2010年はさらなるレベルアップを図ることを重視してWOCはスキップ。経済的に少し余裕ができ、2011年フランスでのWOCをターゲットにトレーニングキャンプやプレ大会などにも積極的に遠征、シーズンを通して調子がよくやや天狗気味だった。2011年に起きた東日本大震災ではチャンピオンとして変な気負いをしており調子を崩したのは今となっては若気の至りだった。

その頃に妻と出会い、程なく結婚することに。彼女が静岡県の川根本町に住みたい、そこで働ける場所を探しているというので一緒に連れて行ってもらう。大井川の蛇行の合間にある小さな平坦地に茶畑と鮮やかな屋根の建物が並ぶ風景は美しかった。元々は四国の山間部にルーツがあり、オリエンテーリングをしながらヨーロッパの田園風景を巡ってきたこともあっていつかは自然に囲まれたのどかな場所で家族を持って暮らしたいという願望があった。そして震災で経験した都市の混乱に恐怖したこともあるし、オリエンテーリングが盛んに行なわれる静岡県に住めること、ここまでの副業を一緒にやっていた村越さんや松澤さんが住んでいたこともその決断に勇気を与えてくれた。会社を辞めて独立し、妻と移住することを決意する。

会社にはわがままを聞いていただき正社員から契約社員に変わって週数回の会社勤務をしながらO-Supportの仕事を本格的に始動させ引越作業も進め、2012年度に完全独立。30歳から35歳を迎えるまでのこの頃がオリエンテーリングでもキャリアハイ。全日本では何度も秒差で敗れて勝ち切れなかったのが悔やまれるが、アスリート生活を最も楽しめた時期だった。

WOCはフォーマットが変わることになり、予選決勝方式最終年となる2013年フィンランドでのWOCを大きな目標に据え集大成とする。毎年成績は向上していき、こういうトレーニングをすれば結果を残せるという感触を得られたが、念願の決勝進出は果たせず。2014年カザフスタンでのアジア選手権でロング2連覇を目指すも(2012年中国大会はロング未実施)僅かに届かず銀メダルに終わったところで代表活動に区切りをつける。

同じころに第一子が生まれたことも心境に変化を与えた。以降は国内のオリエンテーリングを中心に出場し、ワールドマスターズやOMMなどでときどき海外遠征。新たな取り組み方を模索する。そんななかでWOCがスプリントWOCとフォレストWOCに分かれて開催することが決まり、2018年が旧来スタイルのラストWOCとなることから何となく出てみたいと思う。トレーニング期間は短かったが選考会を上位通過でき念願のロング決勝を走れることに。かつてイメージしたほどの走りはできなかったが、リレーも含めて競い合うパフォーマンスは示せたかな。決勝を走れたことに満足し、40歳で日本代表を完全引退。その年に2回目となるロングの日本選手権を獲れた。その後も全日本大会を目標に競技活動を継続する。そのモチベーションは2010年前後に部員が減少し低迷、復活の途上にあった母校のクラブだった。トップで戦うOBの存在は学生が上を目指すきっかけになるはずと信じていたからだ。

程なくコロナ禍となり年々フィジカルの衰えを実感するなか、待望のスターが誕生する。大学の後輩、小牧弘季の躍進だ。彼のキャリア初期にコーチングをしたことも引き際を決めるのに申し分ない存在だった(後で知ったことだが彼は僕がオリエンテーリングを始めた1998年生まれだったことにも運命を感じる)。2021年の全日本選手権でやれる限りの準備をし全力を尽くしたうえで彼に破れて、トップシーンからの引退を決意。以降は年代別チャンピオンを目指したり、若手の指導をしたり、たまにエリートに挑戦したり。家族も増えたので気ままにオリエンテーリングを楽しんでいる。

仕事面では独立以来おかげさまで仕事がなくて困ることはなく(コロナ禍でさえ仕事がないということはなかった)、物販ではウェアの他にコンパスやシューズもラインナップに追加、イベントではOMM JAPANのような全国規模のイベントから住まいのある静岡県内や川根本町内のイベントまで多数お声がけいただく。講習会は講師を務めるだけでなく、その経験を評価されナヴィゲーション・インストラクターやオリエンテーリングコーチの制度設立に関わり、指導者の育成にも携わっている。その間にオリエンテーリング事業を生業にする人も増えたが、「ここまで手広くやってる人はいまい」というのが自負でもあり「強みがないという弱み」があるとも感じている。一番好きな時間は家で地図を描いているとき。

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