『有朋自遠方来』 (2001年7月23日受信)
鈴木康史

この文章『有朋自遠方来』は、昨年度の3月、筑波を離れる際に、筑波大学体育哲学研究室の年度末の文集に書いた文章です。前半が完成版、後半は下書きというか、没原稿。ちょうどインカレ後3月の20日前後に原稿『ちょこっとLOVE』と同時に進行していました。言いたいことは一つで、それをいろいろな表現で書いたわけですが、全部読んでもらって一人前、ってなわけ。

冷静に見れば非常に恥ずかしい文章ですが、自分では自分の悩ましいところをうまく書けたつもり。難儀な僕は、いつもこんなことを考えてしまうので、学者なんてやってるわけですね。ほんとにわれわれはわかりあえるのか、その根拠は?こういう素朴な疑問が、哲学の始まりであり全てでございます。むかし、京大の?孝太郎君は僕を評して「人間、っていう感じがする」と言ってました。お前もそうだろ、という突っ込みは置いておいて、まあ当たってますね。

なお、文中の引用先が全部わかった方は、掲示板に書き込むか、メールください。何か差し上げます。最近の日本のロックが中心かな。なんか切ない別れの歌が多いなあ。

一つだけ書いておきましょうか。『胸いっぱい・・・』は、サニーデイサービスのラストスタジオアルバム『LOVE ALBUM』の中の最高の曲『胸いっぱい』です。サニーデイ全曲中でも最高の曲だね。ちょうど、筑波に来たときにはまっていたのが、桜のジャケットが印象的なサニーデイセカンドアルバムの『東京』で(これもどこかの原稿に書いている)、筑波を去るときには『LOVE ALBUM』にはまっていたというのは、なんか不思議。サニーデイはちょうど解散しちゃうし、僕も傷だらけの手で思い出を抱えて今も暮らしています。ああ、しみるなあ。心はいまだに『遠方』に残っている。      
2001/7/23


『有朋自遠方来』
助手 鈴木康史

あまりに言いたいことがたくさんあって、けれどとうてい言葉にはならないので、サンプリングで逃げます。たった5年、だけど長かった。たくさんのことを学ぶことができて本当に良かった。

『あかあかと いっぽんのみち とほりたり たまぎはるわが いのちなりけり』

筑波で、何がわからないかがたくさんわかった。結局は僕とあなたが一番わからない。だから昔オリエンテーリングにはまり、今は勉強にはまっているのだということもよくわかった。

『いいかい 目で見たものを信用しちゃいけないんだ』

僕らはどうやればわかりあえるのか。また、これからも、渾身の力で考えてみようと思う。

『24時間とちょっと 君の声まだ聴こえず』

『会いたくて 会いたくて 今日の闇に吠えてみよう もどらないふるさとに こぼれおちた言の葉』

ガキのままに、少しは大人になったような気がする。わからないなりに、あの人の向いている方にそっと寄り添うこと、しなやかに、それぐらいはできるだろう?そのための強さを、ちょっとは覚えたかなあ。いや、まだまだなんだろうな。

『僕らお互い弱虫すぎて 踏み込めないまま朝を迎える』

だけど、少し勇気を出すことができるようになった。少し踏みとどまれるようになった。それを身体に刻み込んでゆく。少しずつ、少しずつ。

『ほんのちょこっとなんだけど 勇気をふりしぼった ほんのちょこっとなんだけど 前に進んだ気がする』

5年分の感謝を。片岡先生、佐藤先生、近藤先生、体育原理の諸先生方、関根さん、深澤さん、窪田姉さん(この呼び方がまだ好きだな)、石垣君、多くの後輩たち。多謝。

『夢から夢といつも醒めぬまま僕らは未来の世界へ駆けてく』

さあ、一歩、そこの外へ、一緒に出かけましょう。

『胸いっぱいの思い出を 抱えたその両手に傷 こぼれる涙が 物語のはじまり』

覚悟を決めて、また一歩踏み出してゆきます。新しい物語が待っています。

『士皆垂涙涕泣又前而為歌曰風蕭蕭易水寒壮士一去兮不還』

本年度の仕事 論文:筑波大学体育科学系紀要21号『明治期日本における武士道の創出』

軽く書き始めた本論文が、予想もしない拡がりを見せ始めたときには、締め切りも紙数も尽きていた。おかげで大変な文章になってしまったが、次の10年は「武士道論」でいけそうである。始まりにはちょうどいい。

学会発表:日本体育・スポーツ哲学会第22回大会課題研究『近代日本の心身論と体ほぐしの可能性』

  これもまた、思わぬ新しい展開を予感させるものであった。食わず嫌いせずに何でもやってみるもんだ。


旧版『有朋自遠方来』
助手 鈴木康史

そっと寄り添うこと。あの人の希望に、そっと添うてあげること。そのための強さ。しなやかな。

『24時間とちょっと 君の声まだ聴こえず』

他者への絶望的な距離、けど何とかわかりあいたくて、体と言葉を重ねて。

『会いたくて 会いたくて 今日の闇に吠えてみよう もどらないふるさとに こぼれおちた言の葉』

僕はそのために、生きて、オリエンテーリングにはまって、今も勉強し続ける。

『いいかい 目で見たものを信用しちゃいけないんだ』

音楽を聴く、飯を食う、自転車に乗る。メールを書く、本を読む、気が狂う、気が抜ける。出会う。遠い。

『僕らお互い弱虫すぎて 踏み込めないまま朝を迎える』

わかりあえなくて、拒絶しあえなくて、寄り添いながら、フッと見つめ合い、体を感じ合い、その距離が作る年輪。ある二人がさりげなく並んだ写真。あたたかな年月。その積み重ね。重なり合う音。

『あかあかと いっぽんのみち とほりたり たまぎはるわが いのちなりけり』

もう言葉にならないです。
最後に5年分の感謝を。片岡先生、佐藤先生、近藤先生、関根さん、深沢さん、窪田姉さん(この呼び方がまだ好きだな)、石垣君、多くの後輩たち。多謝。

『夢から夢といつも醒めぬまま僕らは未来の世界へ駆けてく』

さあ、一歩、そこの外へ。

『士皆垂涙涕泣又前而為歌曰風蕭蕭易水寒壮士一去兮不還』

thanks to eight samples