アナリシスを見て

鈴木康史 11.1


アナリシスは、やっぱり、オリエンテーリングがそのまま出ると思います。 今後もきちんと書いていってください。

アナリシスは、いろいろ書いたからといって良いとは限らないし、 短いからといって悪いとは限らない。 良いアナリシスとは、レースと同じく、メリハリがあること、 ポイントが絞られていること。だから、これはダメだ、 というミスには長く、その他のレッグは省略、でも構わない。 だけど、アナリシス初心者の皆さんは、 まずはきちんと書いていくことからはじめましょう。

レースと練習(反省)とをきちんと分けて考えよう。レースの時には、 偶然はラッキー!!とか、運も実力のうち、とか思ってればいいけど、 反省するときには、うまくいったレッグにまで、 偶然の要素がなかったかを厳しく反省して、次のレースにつなげること。 やるべき動作をついさぼらなかったか、 イメージが曖昧なままにアタックしなかったか、ちゃんと反芻すること。 けど、レースの時には、ラッキー、も大切。

次のレースで同じレッグはあり得ない。ので、次につなげるためには、 ある程度抽象化しないといけない。
例:この沢を見てアタックすべきだった→ アタックポイントをきちんと確認してアタックすべきだった
こうすることで、自分の傾向も見えてくる。

みな表現が甘い。ぼんやりしている。特にアタック。
表現が甘いということは、レース時にもそれぐらいしか集中していないということ。
今回のコースでは、ぼんやりとしたアタックでもミスしないので、 それでオッケーと思ってしまいがち。そこは自分に厳しくなりましょう。
また、「慎重に行った」「注意しようと思った」「ミスをしない」 なんていうのも、当たり前でなんの役にも立ちません。 それができれば誰も苦労はしない。もっと具体的に。 どういう動作・思考をすれば「慎重に」「ミスなしに」 オリエンテーリングすることになるのか??を考えないとね。

ミスは必然的に起こる。10個のうち1個ミスしたレースは、 9個がたまたまうまくいった、1個が予定通りミスした、 と思っておいてちょうど良いぐらいです。だから、 目指すべきは何かというと、1個のミスをなくすことではなくて、 偶然の9個を偶然でなくすこと。これがいつも言ってる、 度数分布のグラフのふたこぶらくだを真ん中で高い山にする、ということ。 ただし、そのためのヒントは、1個のミスにたくさん含まれてるから、 アナリシスではまずはそれを抽出する。そしてその視点で残りの9個を見ると、 いかに自分が危ういレースをしているかがよくわかるでしょう。 そこまでできればアナリシスは完璧。

しかし、さらに話を進めれば、例えば「地形がよく見えたので、 アタックはうまくいった」など言う表現が時々見られますが、これは、 「見ようと思っていったのか」「偶然見えたのか」 で評価がまったく変わってきます。見ようと思って行って、 見たならばそれは普通にオッケーです。プラン通りなのでオッケーというわけ。 ただし、行ってみると見えないこともあるということが頭に入っていたかどうかは 問われます。

偶然見えた場合、これはダメ、と思うかもしれないですが、 必ずしも全面的にダメと言い切れない、というのは、確かに、 プランニングという観点からは減点ではあるんですが、ただし、 まわりをよく見ていた(=意図)おかげで、思ってもいない情報が手に入り (=意図的偶然)、それをちゃんと使った、 という場合であればそれは評価されるからです。
こういう風に、自分の意図と、偶然と、 しかも偶然をもコントロールしていこうとするプランと、 そのへんが一体となっていいオリエンテーリングは構成されています。 アナリシスでは、こういう理想に向かって反省をしていくことが大切なわけです。